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京都大学教授、鎌田浩毅さんの「世界がわかる理系の名著」です。
世界を変えた十四冊の本を取り上げ、内容などをわかりやすく説いた解読本である。


これは、大変に面白かった。素晴らしく興味深い内容で、名前は知っていても実際はちゃんと内容を知らなかった科学者を、彼らの名著を見事なまでにわかりやすく解説してくれている。

科学の世界の面白さ、世の中を大きく変える理論を生み出したその苦労、希代の科学者の人物像が手に取るようによくわかる。この本自体が、名著だった。

取り扱うのは、「第1章 生命の世界」「第2章 環境と人間の世界」「第3章 物理の世界」「第4章 地球の世界」の4つの分野である。登場するのは、ダーウィン、ファーブル、メンデル、ガリレイ、ニュートン、アインシュタインといった科学に興味が無くても名前くらいは誰でも知っている超有名科学者、教科書に出てくる人たちがほとんどである。

構成がなかなか良い。それぞれに以下の項目で整理されている。例えばダーウィンの場合
 ◆書いた人はこんな人
 ◆こんなことが書いてある
 ◆その後、世界はどう変わったか
 ◆エピソード
 ◆ダーウィンの教訓
 ◆さわりピックアップ(原書の一部を紹介)
 ◆ダーウィン後(名著にいろんな意味で関連する最近の興味深い本の紹介)

名著の内容や背景、その後の影響、著者の人物像などがわかりやすくて素晴らしいのだが、さらに「○○○後」として紹介している最近の作品がまた秀逸である。これらも読みたくなってしまう。

面白かった内容をピックアップしようとするときりがない。みんな面白い。みんな凄いし、みんな興味深いし、みんなどこか可笑しくて、みんな尊い。

そんななかで、興味を引いたのは、ユクスキュル「生物から見た世界」である。1934年に出版された動物学の古典的名著である。

「動物を取り巻く時間や空間は、動物によってすべて違う」を言うのである。これを『環世界』と呼び、「人間を含む個々の動物にとってみれば、自身が作り上げた主観的な環世界の中でのみ生きている」とした。

「主体が意味を与えたもののみがそこに存在する」ということで、人間と犬とハエは、同じ場所を見ていてもまったく見えているものが違うという。これは個々の人間の場合、価値観の差異として現れる。誰もが自分だけの思い込みの世界で生きており、他人の思い込みはわからないということだ。これは、革命的な視点である。

そして現在ではこの環世界の考え方なしには、環境問題の本質的な議論はできないという。人間を取り巻く環境という概念自体が、人類の幻想によって成り立っている。人間は、人間にとっての環境しか考えられないのである。今後の人類存続と持続する社会を作り上げるためにも必須の視座なのである。

ユクスキュルは、あまりにも登場が早すぎ、当代の有力科学者たちにはまったく認められなかったらしい。正当の評価を受けるまでに何十年という期間を待たなければならなかった。

アインシュタイン「相対性理論」もさすがに面白い。

「相対性理論」の原題は「動いている物体の電気力学」だそうだ。アインシュタインは、物理学の基本から始めて、中学高校レベルの数学を使いながら相対性理論の本質をじっくりと説明していく。
相対性理論を一言で言ってしまうと、とにかく「世の中には光速以外に絶対のものはなく、すべては相対的という考え方」だけわかればよいとのことだ。

アインシュタインは、家族が移住し一人でミュンヘンに残されて寂しさのあまりノイローゼとなりギムナジュウムを中退したり、連邦工科大学を受験するも語学や歴史、生物の成績がふるわず不合格になったり(ただし数学と物理は最高点)、大学での欠席も多く担当教授と巧くやっていくことができずに大学に残って研究する道も絶たれたりと、あまりぱっとしない状況で、ベルリン特許局の技師として平凡にいわゆる閑職につくこととなる。

しかし、就職して二年後、「特殊相対性理論」「光量子仮説」「ブラウン運動の理論」という物理学の重要な考え方を立て続けに一挙に公開する。「奇蹟の年」と呼ばれている。

アインシュタインは、学業の成績は劣等生だったと言われている。暗記が必要な科目はまったくできなかったそうだ。それは、アインシュタインが、自分に合わない科目はばっさりと切り、「つまらないことで頭を疲れさせない」という天才的な戦略をとったためと言われている。意識的に物理学のためだけに自分の大切な時間と頭を使ったのである。

「才能とは、生まれながらにして頭を疲れさせないシステムを搭載していることではないか」と著者は言う。

多くの天才科学者たちに共通するのは、新しいサイエンスを産み出すという本来の仕事の他に、社会の圧力に対抗しなければならない苦労をしていることだ。

ダーウィンの「種の起源」は、キリスト教思想を覆すような考え方に対して教会や学会のボス教授たちの激しい非難、攻撃にあった。これに対して友人の学者ハクスレーやヘッケルらが擁護し、論争をはる。

ファーブルは、十九世紀のフランスでは、大部分が昆虫は悪魔がつくったものと信じられ、フランス人は犬より小さな生き物は目に入らないという環境の中でほとんど知られることがなかったそうである。また、きわめて平易な文章で自然を伝えることに成功しているのだが、専門家からはそれが低い評価になったそうである。

メンデルの画期的な成果も、当時の研究者の誰にも注目されず、三十四年間も埋もれてしまうという運命にあった。それは、メンデルがアカデミアの学者でなかったためと言われており、生物学に数学的解析を持ち込んだメンデルの画期的な点が、当時の生物学者の理解をはるかに超えていたことが原因である。
生前なんの評価も受けなかったメンデルの研究成果は、後になって三人の科学者がまったく別の場所で証明していくことになる。

ガリレイは、地動説を支持した内容が聖書を厳格に信じる教会の反発を買い、宗教裁判にかけられる。そして宗教界とつるんでいた学閥アリストテレス学派から目の敵にされるのである。

ウェゲナーは、「大陸は移動する」ことを発見し、超大陸「パンゲア」という考え方を唱えたが、当時のボス科学者たちにはまったく理解できなかったらしい。彼のアイデアは、あまりにも新しすぎ、科学者コミュニティで孤立していく。そして、この画期的なアイデアは五十年もの間地球科学の世界から姿を消してしまうことになる。
当代で得られる事実だけでは、仮説を十分に実証することができず、このアイデアは、新しい技術(米軍が開発した音波発生装置など)によって実証されていく。

革命的な科学者は、たいていの場合、異端児であり、理解されないことが多い。そこには、良き理解者、友人たちが彼らを支えていたり、少し後の時代に実証していく科学者たちがいたりして、一人では成し遂げられなかったサイエンスフィールドの改革が進んでいくのだということがよくわかる。

そして、科学者には、仮説を立てる能力とともに実験・実証を遂行する忍耐強さが必要なのだが、自分が発見した事実をぜひとも伝達したいという強い情熱と、虐げられたり、認められなかったりする不遇の環境の中でも研究を続け、書に残していく姿勢がこれらの名著を生んでいることに感激するのである。

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2012.06.09 | サイエンス | トラックバック:(1) | コメント:(2) |

こんな本は僕も目がキラキラしながら読んでると思います♪好きです♪

2012.06.25 12:33 URL | 青い涎掛け #- [ 編集 ]

ですよね。いくつになっても、なんかワクワクしますモンね。

2012.06.25 20:39 URL | patch #- [ 編集 ]












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2012.06.10 11:10 | まとめwoネタ速neo

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