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滝川薫、村上敦、池田憲昭、田代かおる、近江まどかさんによる「欧州のエネルギー自立地域 100%再生可能へ!」です。

本書は、脱原発を決めたドイツ、イタリア、スイス、原発を持たないオーストリア、デンマークにおいて、農村から大都市まで、原発や化石燃料に依存しない再生可能エネルギーによる自立をめざす実践の様子を、欧州に暮らす5人のジャーナリストが取材し、レポートしたものである。

各国のエネルギー政策やその背景なども整理されているが、特に五か国から15か所の村や町、州を選び、再生可能エネルギーの導入に至った経緯や現状などを報告している。

先進地域として紹介されているところは人口数千人の小さな村が多い。農村地帯では、交通も含んだエネルギー消費を100%再生可能エネルギーで生産することは、地域の資源や環境条件として短中期的に実現可能であるとともに、住民の意思統一が比較的容易であり、地域のイニシアティブが働きやすいからであろう。

一方、人口密度が高い都市部では、その難易度が上がる。そのため、都市と周辺地域が集まった広域連携地域で取り組もうという例が増えてきているそうであり、本書では、人口135万人を抱えるミュンヘンのような大都市や州の取組も紹介されている。

再生可能エネルギーの導入に取り組む地域の最大のモチベーションは、これまで化石燃料(電気代、暖房代、ガソリン代など)を購入して地域から流出していたお金を域内で循環させることで、地域経済を活性化することだ。
そして、その担い手は、市民であり、地域の事業者である。
あくまでも地域戦略として、社会全体で取り組んでいるケースを「エネルギー自立地域」と呼んでいる。

欧州では、ここ15年ほどの間、エネルギーの主権を再び地域に取り戻す動きが急速に展開しており、地域分散型のエネルギー供給システムへの回帰が進んでいる。
それは、農家の経営を支えるエネルギービジネスを提供するとともに、地域の人々が共同出資するなど多くの人に利益が分配される仕組みを伴っていく。それによって、地域コミュニティの強化にもつながっている。
そして、地域分散型エネルギー生産は、自ずと雇用も分散させ、施工業者、プランナー、コンサルタント、市民投資コーディネート会社、地域資本の小さなエネルギー会社、エコツアーの業者など、地域の中に新しい職を生み出している。

ドイツ、オーストリア、スイスでは、国や州が地域のエネルギー自立をサポートする様々なプログラムを進行中である。分散型再生可能エネルギーの時代には、地域住民の賛同と参加が欠かせない。そこで、自治体や郡は調整役を務める重要な存在である。

再生可能エネルギーを推進するインセンティブには、各種の政策、法的な枠組みが必要である。固定価格買取制度(FIT)やCO2税(環境税)、助成金、設備の建設許可の簡易化などである。固定価格買取制度は、日本でもようやく制度が確立し、2012年夏から運用がはじまろうとしている。

なかでも都市計画制度などとの調整が日本でも重要に思える。
例えば都市計画マスタープラン(土地利用計画)の中に、風況とともに自然や景観、住民への影響を考慮した風力発電の設置可能な場所の記載すること/農地との調整の中でメガソーラー等の設置場所に関する記載/太陽光発電と歴史的建造物の保全規制との調整/生態系や景観、漁業権・水利権との調整を可能とする小水力発電に利用可能な区域を定義した水系地図の作成などである。

これから地域のエネルギー自立に取り組むにあたっては、その道しるべとしての「エネルギーコンセプト」づくりが、まず重要になる。自治体がエネルギー自立政策を実現していく上で基盤となる構想、行動計画である。

内容は、「現状の分析(エネルギー消費の現状とポテンシャル調査)」→「政策目標(目標設定とシナリオ)」→「戦略(対策リスト、実施体制と評価方法の作成)」などを定める。
また、これらを支える情報としてエネルギーのビジュアル化(GIS等)が望まれる。

これらは、地域の様々なステークホルダーが集まって共同で未来図を描き、地域のコンセンサスを得ていくプロセスが大切である。

そして、非常に重要なのは、市民の参加や小さな投資を広げていくための様々な手法を地域にあった形でデザインしていくことだ。再生可能エネルギーの市民投資をコーディネートしていく必要がある。

小規模分散型の再生可能エネルギーは、小さな投資家を好む。小さな市民投資家が安心してエネルギー生産事業に参加できることがきわめて重要なのである。

本書は、エネルギー生産が分散することにより、経済活動も富も分散し、地域が豊かになると言う。再生可能エネルギーが地域社会の再生や発展にとって重要な「道具」として大きな意味を持ちはじめていると訴える。
一極集中の産業構造から分散型の構造への移行であり、社会構造の大きな変化を必要とする。その長いプロセスを踏み出そうと唱えている。

今、日本でも、再生可能エネルギーへの転換の動きが加速しつつある。しかし、メガソーラーをはじめ、再生可能エネルギー事業を推進しようとしている事業体の大半が大企業ではないだろうか。
しかし、本書で紹介されている欧州の事例では、大企業は登場していない。あくまでも、地域の住民と自治体、地域企業が主役である。本書は、日本の進むべき方向を示唆しているように思うのだが、果たして日本において、住民自らが立ちあがり事業を主体的に立ち上げていくような機運が起こってくるのだろうか。

日本においても、今、福島原発の事故をきっかけとして高い問題意識が芽生えてきていると思うが、そうした意識を具体的な事業への参加に向かわせる啓蒙とか、地域の意思形成とか、教育とか、安心して参加できる枠組みづくりとかいった取り組みや事業を推進し、コーディネートしていくことが必要なのではないかと思う。その役割は、自治体だけではなく、地域にそうした専門機関を育てていくことが必要なのではないだろうか。

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2012.06.06 | 地域づくり | トラックバック:(1) | コメント:(5) |

初めまして。ランキングから来た者です。
おっしゃるとおり、エネルギー源をひとつに集中させるよりも、分散させた方が経済に良い影響がありますよね。
都市機能だって、集中したら問題がたくさんあるわけですから、有事の際には、エネルギー源が分散していたほうが、リスクも少ないはずです。

とりあえず私には節電しかできないですけど、天下りやら、賄賂やら、色々としがらみを解決させて、安全な形にまとまってほしいですね。

2012.06.06 01:09 URL | ハマの三文芝居 #- [ 編集 ]

分散すること、それも地域がエネルギー自立を果たしていくことが大事なんだろうと思いました。
日本でも、いくつかの地域で成功例が出てくると違ってくるんでしょうね。

2012.06.06 11:29 URL | patch #- [ 編集 ]

はじめまして。
『人気サイトランキング』と申します。
ご訪問いただければ幸いです。

2012.06.06 22:37 URL | 人気サイトランキング #- [ 編集 ]

はじめましてハリーと申します。
日本の進むべき方向としてはご紹介されている通り、脱原発に向かうのが、人として真っ当な道のはずだが、全く逆の方向に一直線で進む思考停止政党にはウンザリしています。

リンクを貼らせていただきました。
よろしくお願いいたします。

2012.06.09 09:24 URL | ハリー #n1NuJLSA [ 編集 ]

>ハリーさん
ありがとうございます。

当たり前に思えることが、政治の世界とか、国という巨大組織ではそう簡単に動かないものなんでしょうね。
地域から、動いて変えていかないといけないんだと思いました。

2012.06.09 11:37 URL | patch #- [ 編集 ]












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まとめtyaiました【「欧州のエネルギー自立地域」】
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2012.06.08 15:25 | まとめwoネタ速neo

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