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中沢新一さんの「アースダイバー」です。
縄文地図を片手に東京を歩いて読み解かれたとてもユニークな東京論である。

「アースダイバー」という言葉がまずもって魅力的である。

一神教の神様は、頭の中に描いた計画を実行に移すというスマートなやり方で世界を創った。ところが、アメリカの先住民の戦士やサムライの先祖を生んできた環太平洋圏を生きてきた人間たちは、世界の創造をそんなふうには考えてこなかった。例えば、アメリカ先住民の「アースダイバー」神話では、カイツブリが水中深くダイビングしてつかんできた一握りの泥を材料にして、粘土をこねるように体を使ってぶかっこうに世界を創造したのだという。そこからはスマートではないけれど、とても心優しい世界が創られてくる。

日本列島に生きてきた人間たちは「無意識」を泥のようにしてこね上げるやりかたで、自分たちの世界を創ってきた。なんだか得体の知れないところをもっている、私たちの社会は、まぎれもないアースダイバー型の特徴を持っているというのだ。
中沢さんは、自分もカイツブリになって、水中に潜って、底の方から一握りの泥をつかみ、それを材料にして、もう一度人間の心を泥からこね直す。そんな気持ちで東京を見回してみることを「アースダイバー式」と呼んでいる。

「アースダイバー式」の心構えで東京を散策する中沢さんは、縄文時代の地形と現在の東京を重ね合わせた地図を自前でつくり、それを持って歩く。

縄文時代には氷河期が終了して温暖化が進み、氷河が溶けて海面が上昇した時期にあたる。そのため、日本列島は大陸から切り離され、現在の東京付近は山の手の台地の奥深くまで海が入り込んでいたそうだ。

この地図をみると、縄文時代の人たちは、たいてい洪積層と沖積層のはざま、岬のような地形に強い霊性を感じていて、墓地や神様を祀る聖地を設けていた。そして現代では、そこに神社、寺などが位置していることを発見する。

前半は、こんな地図を片手に東京を歩いて、新宿の定礎の物語とか、寺や神社の縁起とか、盛り場の成り立ちとか、電波塔の持つ意味なんかが、実に興味深く読み解かれている。
それらは、どこまで真実なのかはわからないのだけれど、読者としてはその論理展開に引き込まれるものがある。

後半には、神話や宗教の博識をふんだんに盛り込みながら、想像力を爆発させて、エッセイとしても大変に面白い展開をなしていく。

浅草の観音様とストリップの関係とか、秋葉原は「アキバハラ」と読むのが本当で炎の精霊と電子、オタクの関連性とか、「お酉さま」における鷲神社の熊手から鷲がなぜ消えたかとか、東京のへそ「立石様」や相撲が自然の怪力の化身として乗り移ったものであるなど、実に楽しく、知的で、遊び心も満載の面白さである。

そして最後には、都心部の森に囲まれた皇居で締めくくられている。ここでも「森番の天皇」として論じられている中沢さんの夢想は、天皇制のあり方への独自の思いが込められていて興味深い。

東京のことをあまり知らない私は、十分にこの本を味わえない。それは読んでいてなんとも悔しい気がしてしまう。
それでも、アースダイバー式の街へのアプローチの斬新さと、そこから見えてくるものへの切れのいい解釈は、あまりにも魅力的であり、刺激的であった。
土地勘のある地域で試してみたいものである。

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2012.05.06 | 中沢新一 | トラックバック:(1) | コメント:(0) |












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まとめtyaiました【「アースダイバー」 中沢新一】
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2012.05.06 14:56 | まとめwoネタ速neo

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