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マーカス・ウォールセンの「バイオパンク」です。
サブタイトルは「DIY科学者たちのDNAハック!」となっている。


「バイオパンク」とはバイオテクノロジーとパンクミュージックの合成語だろう。
パンクとは、体制化・様式化した従来のロックに反発して社会運動化した音楽ムーブメントのように、DIY科学者(バイオ・ハッカー)たちが、既得権に囲われた生物科学の高い壁を自力で押しのけようとする様を表しているのだと思われ、本書はそんなをDIY科学者たちを取材した生命科学の最前線のルポルタージュである。

バイオテクノロジーは、今、遺伝子組み替え食品や細菌などによるバイオテロのイメージなどとも関連して、政・官・産によって研究者や研究成果が囲い込まれてしまっている。そこには高い壁がある。しかし、本書に登場するバイオ・ハッカーたちは、これに異を唱える。
自然界に存在する情報なのに、それを特許とか知的財産権で囲い込みするのはおかしいというのだ。ニュートンは「万有引力の法則」を、アインシュタインは「特殊相対性理論」に特許を申請したか、と問うのだ。

登場するDIY科学者たちに共通している特長がある。ひとつは、研究成果を独占せずに公開してしまうことだ。そして、特許を申請せず、金儲けも眼中にない。彼等は、純粋に知りたい、自分で解明したい、社会の問題を自分の手で解決したいという情熱と探求心から研究しているのである。

バイオ・ハッカーたちは、DNAに関する情報や研究成果がオープンソースとなり、安い機材で多くの仲間がこの世界に参入することができれば、イノベーションが起こるはずだという。より多くの集合知をはたらかせる環境こそが生物科学にイノベーションを引き起こすと考えているのだ。
大学や大手企業の研究室が研究を独占するのでは、生物科学の飛躍的発展が望めないし、そんなことは間違っていると思っている。

近年では、情報科学が世界を動かしてきたが、これから世界を大きく変える可能性のある領域は、生命科学だろう。そこに情報科学の経験が交わってくる。

2003年にヒトゲノム・プロジェクトにより解読された生命の設計書であるDNAコードは、コンピュータのプログラミングに使うコードにあまりにもよく似ていた。DIY科学者たちは、コンピューターでプログラミングするように、DNAコードも操作できるのではとの発想から、自分たちを「バイオハッカー」と呼び、自宅のガレージやキッチンでその研究に動きはじめている。

ビル・ゲイツがガレージで立ち上げた会社が今日のマイクロソフトになり、サーゲイ・ブリンとラリー・ぺイジは友人のガレージでグーグルを発明し、マーク・ザッカーバーグは学生寮の部屋でfacebookを開設した。
バイオハッカーたちもガレージやキッチンのような身近な場所を利用して、DNAデータを使った生命言語の操作をはじめている。

ウェブの草創期に、おもしろさだけで動くハッカーたちが新しい情報の世界を開拓し、それが世界を変えた。今、生物科学の世界で、それが再び起きようとしているというのだ。

ただ、ウェブに比べて、生物科学の領域ならではの難しい問題が存在する。
バイオテロの懸念や見えない人工微生物の侵略などへの恐怖である。

本書では、今、生物科学の分野で何が起きようとしてるのか、その中で独自の信念の下に活動するバイオハッカーたちの考え方や現状を紹介し、そしてそれにかかわる懸念や不安、未来への展望などを様々な立場の意見を交えて書かれていて大変興味深い。

近い将来、私たちは自分の全ゲノムのスキャン情報をスマートフォンに入れて持ち歩けるようになるかもしれない。自分で自分のゲノム情報を管理する時代となり、遺伝子工学は日常生活の一部になる。
世の中の問題はバイオテクノロジーを使って驚くような方法で解決され、新しいエネルギー源としても身近に使いこなす時代が来るのかもしれない。

ただ、今のところバイオハッカーたちは、大躍進と呼べるような成果は出していないし、そう簡単に成果は生まれないのだろう。しかし、彼らはとにかく楽しそうに、自分で科学をしようと決めて、すべて自分でやる。その姿と情熱には、心震わせられるし、うらやましいと感じてしまう。

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2012.05.03 | サイエンス | トラックバック:(1) | コメント:(0) |












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2012.05.05 23:16 | まとめwoネタ速neo

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