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窪美澄さんの「晴天の迷いクジラ」です。
「ふがいない僕は空を見た」で衝撃的なデビューを飾った窪美澄さんの待望の第2弾小説。


仕事に追われ心を失いつつあることにさえ気づかない青年。
過酷な過去を背負う倒産寸前デザイン会社の女社長。
親の過干渉に苦しみ引きこもりとリストカットを繰り返す少女。
生きることに戸惑い 疲れ 壊れかけた、年齢も性別も異なる三人が、遠くの海でクジラが座礁したというニュースを聞いて、クジラを見に行くという物語。

それぞれが抱える孤独な気持ち、生きていくことの息苦しさ、圧迫感に苛まれた深淵な思いに切実に踏み込んできて、壊れそうな三人の有様が実に生々しい。こういう人間の気持ちをえぐるような有様を描く窪さんの筆力は半端ではない。

登場する母親も父親も夫もみんなとてもイタくて困ったものたちだし、その影響をどうしようもなく受けてしまう主人公たちは弱々しくも不器用であり、なかでも過労と失恋で鬱の男子がまたまたなんともなさけない。

前半はこの三人の辛さ、イタさを読者は見事に共有させられるのだが、だからこそ心ふるわせる感動の後半が待っている。

この小説は、弱い自分自身もまさに今生きていくのだということを意識させてくれるし、そこに優しく寄り添いながら見守ってくれるあたたかな力に溢れている。弱くてなさけない私にとっては、窪さんが紡ぐ言葉をひとつひとつ大切に噛み締めたいと思わせるものがある。

窪美澄は凄い作家だと思う。

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2012.03.09 | 窪美澄 | トラックバック:(0) | コメント:(2) |

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