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三浦しをんさんの「舟を編む」です。

《あらすじ》
玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていくー。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのかー。


辞書とは「言葉という大海原を航海するための舟」だと言う。

まずは、装幀だ。
夜の海のような濃い藍色のカバーに、「舟を編む」という文字は堂々たる書体で銀色に浮かび上がっている。飾りに、銀色で波と月、帆船が描かれ、表紙をめくると鮮やかなクリーム色の見返しが現れる。
辞書の装幀を意識されているんだろうけれど、なんとも品が良い。

これは、辞書編纂という地味で地道な仕事の物語。
新しい辞書『大渡海』を編み終わるまでの15年という長い長い歳月を、編集部の人事異動や年齢を重ねる登場人物の暮らしぶりを含めてしっかりと描ききっている。

なんといっても辞書編纂という仕事の特異性や難しさを伝える筆致は見事である。
辞書編集部の辞書への深い思い入れ、言葉へのこだわりと真摯な姿勢、ひたむきな情熱は、本当にすさまじいものだと実感させられた。

一例を挙げるとすれば、「用例採集カード」であろう。
用例採集カードとは、気になった言葉、聞き覚えのない言葉を即座に記録するためのもので、辞書編集部には膨大な数の用例採集カードが蓄積されている。
辞書を編むための大切な材料となる。辞書編集部の面々や老学者は、日常においても常に言葉に注意を払い、食事や会話の最中でも頻繁にカードに記入する。どんなときでもカードとえんぴつは手放さない。文字通り人生を通じたライフワークと化している。

登場人物一人ひとりの個性もくっきりと出ている。
登場人物一人ひとりがとても大切に、慈しむように描かれている。
だれもが、やさしく、あたたかく、それぞれの立場でそれぞれの情熱を持っていて気持ち良く感情移入できる。

とにかく面白いし、素晴らしく良い小説だが、それだけでなく、自分の仕事への姿勢を問い直されているようで、胸に痛く響くものがあった。

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2012.04.01 | 三浦しをん | トラックバック:(0) | コメント:(2) |

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