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瀬尾まいこさんの「僕らのご飯は明日で待ってる」です。
教職を辞されてから発表されたはじめての作品でしょうか。


《amazon内容紹介》
葉山イエス。イエスはあだ名。何に対しても心が広い、キリストのような奴だから。でも実際は、人に対して無関心だっただけ。趣味(?)は黄昏と自分探し。
上村小春。唐揚は苦手だけど、ケンタッキーは好き。ポカリ派。自分をしっかり持っていて、決めた事は覆さない。でも、おばあちゃんの言葉は日本国憲法より重い。

流されるがままの男子と、頑なまでに我が道を進む女子。ちっともイマドキでもなければ情熱的でもない高校生の二人は、体育祭の競技“米袋ジャンプ”がきっかけで付き合う事になった。大学に行っても、“恋愛”と言って良いのか分からない淡々とした関係を続ける二人だが、一つだけ自信を持って言えることがある。それは、互いを必用としている事。
でも人生は、いつも思わぬ方向に進んで行き……。
笑って、泣いて、じんわり温かい。読者の心に春を届ける、著者の魅力がぎゅっと詰まった優しい恋の物語。


何がこれほどまでに、愛すべきキャラに仕上げているのだろうか。

高校生の時は暗くていつも黄昏れていた主人公のイエス。自分をしっかり持っているが、何事にも歯切れが良すぎて優しいんだか冷たいんだかよくわからない上村。二人とも、一風変わった性格なのだが、読んでいるとなんだかかわいくてほっこりしている。ついニンマリしてしまい、心がほぐれる気がする。

今回の作品でも、いつも変わらない瀬尾さんの登場人物への温かな眼差しが感じられる。そう、瀬尾さんの作品を読むと感じるのだが、登場人物のタイプは違っていても、いろんな人のいいところを見つけようとする幸せな視線が常に働いていて、それが物語全体の優しさを育んでいる。

二人は恋愛のようなお互いを理解し合う関係を築いていくのだけど、その二人の会話は実に淡々としている。そっけないと言ってもいいくらいに、くどくない、さらっとした小気味いい会話が本作の芯をなしているのだ。

そこには、「ポカリ」とか「ケンタッキー」とか「浅見光彦」とか「東京ウォーカー」とか「日本国憲法」とか、なにやらキーワードが散りばめられてところどころでキラキラ光ってアクセントになり弾んでいるし、何度も唐突な展開に振り回されるのもなぜか心地よい。

難しい言葉は全然でてこなくて、頭にスーと入ってくる。こんな会話のリズムと独特の質感、キーワードと穏やかな揺さぶりに乗せられて、読者の二人への愛着はじわじわ高まっていくのだ。

瀬尾さんの文章の凄いところは、二人の気持ちの奥にある何か大切なものをサラリとシンプルな会話に載せてしまっていることだ。それは、読むのにほとんど力を要しないのだが、確かに感じられる。それがいい。

だから、瀬尾さんの描く世界にいるとホッとする。読み手もそこに受け入れられているように、当たり前のように物語の世界に馴染んでいくのだ。

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2012.04.27 | 瀬尾まいこ | トラックバック:(1) | コメント:(0) |

瀬尾まいこさんの「強運の持ち主」です。


《文庫本裏表紙より》
元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年…。じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。


瀬尾さんの軽快な読みやすい文章はそのままに、これまでの作品よりも明るくて爽快なお話になっている。

OLから転職した占い師、ルイーズ吉田の成長物語。
そして日常や身近にいる人を大切にする瀬尾さんの思いが軽快なお話の中にしっかり染みこんでいてとってもあったかい。

これまでの作品のような「感動する度」は高くないのだけど、日々を前向きに身近なものを愛しながら暮らすことの魅力が伝わってきて、「素直に勇気づけられる度」「前向きに生きよう度」は最高値だ。

物語は、特に大きな山場もないし、盛り上がりも感じないし、トリックも仕掛けも特にないのだが、とても安心して心地よく読むことができる。幸せな時間である。
通彦(恋人)の作るへんてこ料理や終末がみえる関西弁の武田君の存在がよいアクセントになっていて作品にリズムを与えている。

子どもたちも大好きで、小学校高学年くらいから読めると思うし、得るものも大きいと思う。ちょっとした気持ちの持ち方次第で明日は開けるよと背中を押してくれるだろう。
瀬尾の作品はほぼすべて読んでいると思うのだが、たぶん最も好きな作品の一つである。

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2012.03.08 | 瀬尾まいこ | トラックバック:(0) | コメント:(0) |

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